七転八起DAYS

転んだままずっと起き上がれない人間の些細な日常と思うところ

生きてきた中で大きな節目

このブログの更新も久しぶりになります。

今日という日をもって僕の職場からとても大きな人物が旅立っていきます。言い訳がましくなるかもしれませんが、その人物の影響でブログの更新ができなかったといっても過言ではありません。

 

彼と出会ったのは今の職場に異動してから、かなり早い段階で行われた研修に出席した時だと思います。昼御飯を食べてから研修を受けないといけない状況で、確か食事代を出してあげたはずです。彼はブログでその時のことを書いてくれているのですが、いささか僕がその行為を行った心情が違っています。僕も若い時沢山の人にお世話になってきたのです。御飯を食べさせてもらったり、ジュースをおごってもらったり。その時に先輩の一人に言われていたのが

「俺も先輩にはお世話になったから、こうして世話をする。だから、君もできる時がきたらするんだよ」

という言葉だったからです。その当時、僕もまだゆとりもなかったけど、所属する会社の給料体系から彼の方が苦しいのもわかっていたし、それをするだけの価値のある人物だなという直感も働いたからです。

 

僕は騙されることも多いけど、本当にいい人間と悪い人間の区別くらいはつきます。どう感じても、彼は色々な意味で純粋で真っ直ぐな人間だと思ったのです。

 

なぜか、異動後すぐにまた所属するセクションが変わりました。その時に彼がすぐ隣のセクションにいた。壁も仕切りもない隣り合ったセクションで彼とは勤務のタイミングが同じという時が多くなったのです。気さくで誰とでも話し明るくユーモアに溢れた彼とは、仕事の最中も周囲に迷惑なくらい話しをしていました。

その新しいセクションに異動する前に、彼が音楽をやっていることを知っていた。バンド名で検索してyoutubeで音源を見てみたことがありました。

彼には言っていませんが、その映像を見た後の先輩たちとの飲み会の場で「凄いことやってる子がいる。音楽をもっと真剣にやるべきだ」と常々言っていました。あくまで、これも僕の直感です。

 

社員としても優秀、ミュージシャンとしても有望という彼について、3年くらい前にその素晴らしい逸材をどうする気なんだ?と激しく先輩から問われた時がありました。まぁ、とはいえ飲み会の席です。その時僕はこう答えました。

 

「彼を今の仕事で完璧に成り立たせていくか、ミュージシャンとして旅立たせるかです。それが僕の役目かなぁと思います」

 

と。それくらい彼は、どちらの道を選んでも大きくなる人間だと見込んでいたのです。

僕と彼の間の話しの中で、彼が思い出してくれるとわかると思うのですが、その辺りから僕はありったけの知識を彼に話すようになりました。人間のこと、お金のこと、知識のこと、音楽のこと、芸術のこと、この世とあの世のこと等々様々なことです。僕が今の会社に属して色々な人に自分の経験を話しても信じてもらえないような話しを沢山彼にはしました。でも、やはり彼は頭もいい上に素直なのでどんどん吸収していってくれて考え方が変わっていくのが見て取れました。

 

そして去年の春先に、アルバムを作るのだけど諸事情でジャケットを書いて欲しいということで、僕は快諾しました。その時に彼に「僕とやるということは大きなことになると思うよ〜」と冗談っぽく言っていたのですが、話しが転がり転がってタワーレコードさんと全国展開というお話をいただきました。その時、自分の持っている運ではなく、彼の持っている運が強いんだなぁと感じたのは今でも覚えています。この年齢で、一旦夢を諦めていた人間が規模は小さいとはいえ、yahooさんやナタリーさんなどの大手サイトで絵が掲載される機会を得ることができたのですから。

 

よく、冗談交じりに「これだけやってもノーギャラだからなぁ」と言いますが、むしろ逆で「お金を払っても経験できないことを経験させてくれてありがとう」と思っているのです。僕がいくらお金を積んでも実はできないことを彼は僕に与えてくれているのです。そこは本当に感謝しています。そのことに甘えてばっかりで、もっと本当は絵をうまく描けるように頑張らないとダメなんですけどね。その点では彼のバンドのファンの評価に甘えているところがあります・・・

 

そして、昨年の年末に彼はライブの中で決意表明をします。今の仕事を辞めて音楽で勝負すると。僕は正直、安心と不安が交錯しました。彼が常々言っているように、ゴミのような職場でも安定はある程度あるのです。僕は常々、彼が他の支店の配属だったら今も未来も変わっていただろうと思うところがあって、ある程度の期間を在籍すると異動ということもあり得たからです。より良く生きてこそというのが僕のポリシーでもあるからです。

 

僕は人生の中で最も影響を受けた映画の主人公を目指して生きています。それは僕が最も好きな俳優である故ロビン・ウィリアムス主演の「今を生きる」という映画です。そのロビンウィリアムス演じる教師を目標として生きてきました。進学校で型破りの教師が生徒たちに新しい価値観を植え付けていく映画です。ただ、その生徒の一人はその新しい価値観と古い価値観の中で悩み自殺してしまうのです。僕は、彼の決意を聞いてからずっと、そのことが頭をよぎってしまいます。本当に自分が話してきたこと教えたことが後悔を生まないのかと。周囲に相談しても「それは彼が決めることだから」と言わますが、僕さえいなければ違う答えがあったのではと自問自答を続けてきたのですが、とうとう今日を迎えてしまったのです。

 

正直なところ未来なんて誰にもわかりません。もしかしたら神様だってこんな小さい人間の一つのことになんて関わってられないからわからないのかもしれない。ただ、未来を動かそうとした人間にだけ未来は動かせるということは事実だと思うのです。

 

だだ、一つ言えることは僕は彼とこの職場で出会えて良かったということです。灰色だった景色に色を与えられる、そういう人間と出会えて良かったと。

 

最後に

ゲッチくん、9年間お疲れ様でした。

色々なことがありましたね、楽しいことはあまりない職場ですがお互い必死に楽しいことみつけてやってきたと思います。いい先輩もいい後輩もなかなかできない環境の中でも、しっかりと外の世界を持ち続けて成長してきたのは立派ですし両立するための苦労を沢山見てきました、本当に頭が下がります。正直、僕には出来ないことです。君がいなくなる仕事場はとても退屈でとても面白くないものになると思います。でも、そんなことで大きな夢を引き止める理由になんてならないのです。仙人は、様々事情があってもう少しこの場に残らないといけません。仙人の周りの夢が叶っているって話しをするときの補足ですが、仙人がこれがしたい!!これが好き!!という時、可能性のある人間が常にそこへ連れて行ってくれるのです。野球が好きな時はプロ野球選手に友達がなったり、この友達のやってること広めたい!!と思うと本が出版されたり。だから、僕は君に僕の大好きなミュージシャンに会いに行くことを託しています。だから、いつか仙人の夢を連れて行ってくださいね。頑張れとは言いませんよ、あなたならやるとわかっていますから。大丈夫、今ままでの職場を物差しに測る必要はないんです、これから。今の環境の中では異質だったんですから。

 

それと、最後に渡した本は理解できたら仙人に内容教えてください。もうかなり昔に読んだので忘れてるんです(笑)

 

本当にありがとう。君を知る前の世界と知らない世界は全然違ってました。会う期間もどんどん空いていくかもしれないけど、その都度変わっていく姿見せてください。

 

ではでは、仙人からでした。

(男同士ってこういうの面と向かっていうの照れ臭いよねぇ笑)